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Magnet Newsletter by Ximera, Inc. No.012

前回の発行は8月、猛暑のなかの暑中お見舞いが前文の書き出しでした。もはや立冬を過ぎていますから、肌寒い気候にもそろそろ慣れていく頃合いです。秋の季節はすっかりウェビナー開催のお知らせを重ねるばかりとなり、こういった文章でご挨拶するのがご無沙汰となってしまいました。また発行ペースを考えなくてはと模索中です。みなさんはお体のペースと健康を崩さぬよう、暖かくしてお過ごしください。

このニュースレター「Magnet(マグネット)」は、メディアビジネスに向き合う方々に宛てた、私たちキメラからのおたよりです。役に立つニュースや論考をお届けするにとどまらず、一社で立ち向かうには大きすぎる苦境のなかで戦う力になれたらとも思っております。今回も、どうぞお付き合いください。

目次|Magnet Newsletter by Ximera, No.012

  • 編集製品のサイトリニューアル

  • リスクを低減し成長を支援する新たなリテールテック

  • NHK NEWS WEBを迎えたオンラインイベントの動画を公開中

編集製品のサイトリニューアル

一般に、ニュースサイトのリニューアルというのは運営者にとってよろこばしいことだ。数年に一度、期待される変化である。常に、そして徐々に改善がくりかえされ、一度の大きな変化は必要がない。そういう考えもないわけではないが、多くのニュースサイトというのは、数年に一度、衣装替えをしているのではないだろうか。

そういうわけで、自らの運営するニュースサイトの見た目が、体裁が、どこか居心地がよくない。古くさい感じがする。そう感じてきたときに。もしくはどこから入ってきたかわからない、夢のようなツールを導入すれば、というようなうまい話が巻き起こった場合に、リニューアルという言葉がニュースルームでの会話に増えていくのではないだろうか。想像だが。

こういったとき、大抵の場合、メンバーは「箱が新しくなれば、うまくいく」と頭の片隅で期待してしまう(これも想像だ)。メンバーシップの機能を導入すれば。みつけてほしい記事をみつけてもらえれば。SEOを意識した構造にできれば。どれもやったほうがいいリストに載っていそうである。リストの上から下まですればいい(実際は優先順位をつけなければならないだろう)。加えて、価値の源泉、ユーザー体験における作用の比重をコンテンツ、記事に重くもたせた編集製品の場合、これだけでは足りない。

9月、米国Vox Mediaのテクノロジーメディア『The Verge』がサイトリニューアルを果たした。SVP of DesignのPhilip Delbourgoはこのリデザインの目的を「Vergeチームの働き方を変え、デジタルジャーナリストのチームが忠実な読者を引き付け、維持するための新しいモデルを作ること」だと語っている。The Verge共同創業者でEditor-in-chiefのNilay Patelもこう重ねる。

私たちが目指したのは、ウェブサイトのデザインではなく、デジタル・ニュースルームを大規模に運営するためのアプローチ全体を見直すことだ

The Vergeのミッションのひとつは、消費者向けのテクノロジーとサイエンスをカバーすることだ。しかし、たとえばイーロン・マスクがコンテンツモデレーションに関するツイートで混乱をもたらしたとき、すべての作業を中断して、そのことをカバーすべきかの議論と編集のワークフローが必要になってしまう。そうなると、ほかのレポートや深いレビュー、鋭い分析をする時間を減らしてしまう。

そこで彼らはStorystreamと呼ばれるニュースフィードをサイトに用意することにした。これは短い考察やニュースの断片、インターネット全体から取得できる優れたニュース、コメントなどを即時に公開できるショートタイプのコンテンツフィードで、The Vergeのほかの記事とならんでトップページに掲載されている。バイラルしているTikTokやマスク氏のツイートはここでカバーすればいい。日々の出来事をリアルタイムで網羅的に伝えること、これによって熱心な読者が再びサイトを訪れる期待を醸成できる。カバーするテーマに幅をもたせたまま、深さをもたらすコンテンツを作成する時間を捻出できるのだ。

Storystream on Verge

画面右に新設されたToday’s Storystreamがある

Vergeのリニューアルは、ニュースルーム自体の働き方を変え、読者とのコミュニケーションの方法を変えるものである。「インターネットは会話であり、The Vergeはすばらしい会話をみつける場所であるべき」というのはNilayの言葉だ。

編集のプロダクトにおいて、価値の源泉はコンテンツである。箱だけを変えるのではない。その編集ブランドとプロダクトを不可分なものとして捉える全体的なアプローチ、それを強化する絶好の機会がサイトリニューアルと考えたい。

Ximera Media Next Trends #40
メディアのトレンドとそれを巻き起こすスタートアップを追いかける連載シリーズ

リスクを低減し成長を支援する新たなリテールテック

AWSやShopifyが生まれたことをきっかけにUSでは2010年頃からD2C(Direct To Consumer)のブランドやスタートアップが多数登場しました。有名な例で言えば、Everlane(ファッション)、Warby Parker(メガネ)、Glossier(スキンケア/化粧品)、Away(スーツケース)、Casper(マットレス)、allbirds(シューズ)など、様々な分野で著名なD2Cスタートアップが現れてきました。

そうしたD2Cは最初は実店舗は持たず販売チャネルはECのみ、顧客獲得チャネルは主に検索とSNSによるオーガニックトラフィックとオンライン広告のみで成長していきます。

しかし、売上が1000万ドル(約1400億円)を超えたあたりから、オンライン広告で顧客を獲得するよりも、オフラインで顧客を獲得する方が効率的となるタイミングがやってくると言われています。またWIKY LUXという化粧品D2Cの例では、オフラインで獲得した顧客の方がリピート顧客に3倍以上なりやすいといった事例もあり、D2CやそれまでEC専業でやってきた企業は、さらなる成長のため、実店舗展開を検討しはじめます。また、近年では大手ブランドでも新商品プロモーションや顧客獲得のため期間限定のポップアップストアを開く場合もあり、「スモールスタートで実店舗展開をはじめたい」という需要が存在しています。

一方で実店舗への進出は非常に敷居が高いです。実店舗は、店舗出店計画、テナント契約、店舗デザイン・設計、什器調達、スタッフ獲得、シフト管理、在庫管理、発送管理、運営フローやマニュアル整備、接客/アフター、売上/販売管理、マーケティング、POS・EC連携など、やること・考慮しなければいけないことが多岐にわたります。

店舗、什器、接客などECではほぼソフトウェア化されていた要素がハードウェア化されるため、管理やメンテナンスについてもECとは異なった知識・経験・労力が必要になってきます。また、新たにテナント賃料支払、什器調達やメンテコスト、運営ができる人材獲得、現場スタッフへの給与報酬など、当面かかる費用だけでも大きな額になり、失敗すれば会社への大きな負債になってしまいます。

近年こうした課題を抱える企業を支援するスタートアップが現れており、RaaS(Retail as a Service)、ゴーストリテイラーなど様々な呼び方がありますが、実店舗の企画・構築・運営を支援するソリューションを展開しています。

本稿ではリテール分野で新たなソリューションを展開するスタートアップを取り上げ、顧客の抱える課題を解決し成長を支援するビジネストレンドを捉えていきたいと思います。

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秋の夜長に

NHK NEWS WEBを迎えたオンラインイベントの動画を公開中です

NHK NEWS WEBからデジタルコンテンツ戦略担当チーフプロデューサーの松枝一靖様をお招きし、データと向き合う戦略とその現場についてお話しいただきました。

  • 毎日の編集会議でしていること

  • 自分たちでやってみるのがとても大事

  • いきなりデータだけみても、たいていうまくいかない

  • 自分たちで課題を抽出する。そうすればデータを活用できる

3年間、自分たちでデータと向き合ってきた組織の景色がわかります。

イベントの動画をみる
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