その後もStoriesの公開期間のコントロール、Storyへの返信の強調表示、通知音のカスタム、特別な友達フラグ付け機能、などさらに有料ユーザ向けの体験を拡大しています。1つ1つの機能を見るとなんてことない機能にも思えますが、Snapはコミュニケーションサービスであり、コアユーザが求めるものをよく理解し体験設計することで大きな成功につながっており、無料でやっていたサービスが、どのように有料化をはかったのか非常に参考になる事例かと思います。
また、Twitterは元々Twitter Blue(広告表示が少なくなる、ツイートの取り消しなどが可能になる有料月額サービス)を提供していましたが、イーロン・マスクに買収された直後、さらにTwitter Blueによる収益を高める戦略へ一気に舵がきられました。2022年11月に月額7.99ドル(約1100円)でリブランドされ、認証済みマーク(個人アカウントが青色、企業アカウントが金色、政府関連のアカウントが灰色)の取得を可能にしました(ロンチ後、偽公式アカウントが乱立するなど混乱があり、12月12日まで停止、そののち再開)。Twitter Blueの施策については、ターゲットを一般的なエンドユーザではなく、クリエイターやエンタープライズに切り替えて、単価を上げて収益を高める意図があると思われます。
もう一点、メディア関連のトレンドとして注目しておきたい点が、コンテンツの二次利用が大きく促進されていることです。例えば、クリエイターが作ったコンテンツを直接販売する仕組みが様々なプラットフォームやマーケットプレイスで可能になっていますが、さらにそれぞれが作ったコンテンツを使い、新しくコンテンツが生み出される形が生まれています。楽曲分野では特に進んでおり、他の分野でも拡大される可能性があると考えられます。
そして最後に、メディアとコマースが融合しつつあることについても触れておきたいと思います。特にクリエイターという個が台頭してきた現在では、クリエイター x メディア x コマースは別々の存在ではなく、一貫したブランド体験として作られることでより価値を発揮できる可能性が出てきています。例えばクリエイターを獲得チャネルとしてみるのではなく、同じチームで組みコンテンツを制作配信するメディアを作り、さらにはバックエンドのロジスティクスや実店舗運営まで手掛けるスタートアップが出現しています。
こうした動きは2023年にもより加速し、複数領域を一気通貫かつ良質な体験を提供するメディア・コマースが生まれる可能性があります。